大判例

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大阪地方裁判所 昭和43年(わ)1093号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕(罪となるべき事実)

第一 被告人佐々木は、昭和四三年三月二二日午前零時一〇分ごろ、被告人徳弘とともに大阪市阿倍野区旭町三丁目付近路上を通行中、折から同所を通りかかつた加納雅之祐(当時六九才)と、とつ組み合いの喧嘩をしたが、その際自己のズボンが破れたことからその弁償にかこつけて加納から金品を強取しようと企て、同人の後を追つて同市西成区松田町一丁目一番地北村繁雄方東側路上に至り、同人の顔面等を手拳で殴打し、倒れた同人を数回にわたつて踏みつける等の暴行を加えてその反抗を抑圧し、同人所有の一八金製腕時計バンド(時価四〇、〇〇〇円相当)を強取したが、その際右暴行によつて同人に対し入院等の加療約一カ月を要する右眼打撲傷、網膜震盪症、結膜下出血、顔面、頸部、右手、両腰部、右膝打撲傷、両側慢性硬膜下血腫(外傷性)の傷害を負わせ、

第二 被告人徳広は、被告人佐々木が判示第一の犯行に及んだ際同所において、被告人佐々木が加納から金品を強取しようとしているのを知りながら、同被告人の犯行を助けるため、同被告人が加納に暴行を加えた際、同所を前後して通りかかつたライトバン自動車およびタクシーが同所付近で停車するや同被告人の犯行が目撃されないようにするため「行け、ぐずぐずせんと行かんか」等といつてこれを立ち去らせたうえ、加納の顔面を踏みつけ、もつて被告人佐々木の前示犯行を容易にしてこれを幇助し

たものである。

(被告人徳弘の所為を強盗致傷幇助と認定した理由)

被告人徳弘の判示第二の所為について、検察官はこれを被告人佐々木の判示第一の強盗致傷の共同正犯であると主張するのに対し、被告人徳広の弁護人は、被告人徳弘には強盗の共謀がなく無罪であると主張するが、当公判廷における証人加納雅之祐、同森喜亀の証言および被告人徳弘の供述、森喜亀および被告人徳弘の前掲各供述調書並びに前掲鑑定書を総合すると、前示認定のように、被告人徳弘が前示道路上に停車したライトバン自動車およびタクシーに対し「行け。ぐずぐずせんと行かんか」等と命じてこれらを立ち退かせたこと、被告人佐々木が加納に対し前示のような暴行を加えている際に加納が「兄ちやん止めてくれ」といつて自己の足をつかんできた際自ら同人の顔面を踏みつけたことを認めることができ、しかもその当時、被告人徳弘は、被告人佐々木が加納から金品を強取しようとして暴行を加えていることを知つていた(被告人徳弘の前示供述調書および当公判廷における供述)と認めるべきであるから、被告人徳弘は被告人佐々木の強盗行為を認識し容認して右の所為に出たものというべきである。しかしながら、本件の全証拠によつても、被告人徳広が被告人佐々木との間に本件強盗について特段の謀議をしたような事実は全く認めないし、また、被告人徳弘が加納の顔面を踏みつけたのは、前示のような事情のもとにおいてであり、それ以外に被告人徳弘が加納に暴行脅迫等を加えた事実は認められないのである。このように、本件犯行の経緯、被告人佐々木と被告人徳弘が加納に加えた暴行の態様およびその程度等を総合考察すると、被告人徳弘の暴行は、同被告人が前示のように被告人佐々木の強盗行為を認識し容認していたにしても、すすんで被告人佐々木と一体となつて強盗をなすべく、その行為の一部を分担する意思のもとになされた実行行為の一部であると認めることは困難であり、結局被告人徳弘の判示所為は被告人佐々木の強取行為を容易にするためになされたものと認定するのが相当である。(児島武雄 高橋通延 坪井俊輔)

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